トップページ / されど我が詩集

虚辞

夕暮れに思うそなたの背中は
まるでいとおしい物のように
小さく消えてしまった

そなたの着物姿はさぞかし美しかろう
まだ見ぬ景色でありながら
むしろ写真よりはっきりと
皺まで見えた

一条の光が天までも貫き
彼が火は全てを消し去るという

冬の夜に思うそなたの唇は
蒼く不気味に生気なく
我が魂を吸い取るように
静かに近づいてきた

そなたが揺れる

香倉外骨(2003/01/18)

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