トップページ | されど我が詩集

火の道

通勤圏に位置するこの街は
都会と田舎の中間地点
それでも地球規模で見れば
立派な人工地帯

車より長い湾岸線の橋脚
これ程の建造物が
小さな街にいくつ
建てられたのだろう
一本だけでも
私の家より高価そうだ

二百年前も大した違いは無い
高速道路も無ければ家もまばらだった
けれど今も忘れ物のように残る田畑が
ずっと一面に広がっていた
立派な人工地帯

二千年前はどうであろうか
恐らく喬木が果てまで続き
ぽつりとある村とも呼べぬ集落に
一条の煙が文明を示す
それでも立派な人工地帯

高価な道路や橋を
少ない人口で割ってみたら
私の稼ぎでは足りない
空港やデパートも
結局は皆で分担して建てた事と同じ

ぼんやりと
信号機の点滅に
意識が遠くなる

香倉外骨(2005/03/13)

/ 目次 /


制作・著作/香倉外骨  2005/03/13初出
無断転載を禁じます。リンクはご自由にどうぞ。
Copyright © 2005 Kagura Gaikotsu. All rights reserved.