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みおり舞の舞

近頃ストリップのことばかり書いているな。だってストリップばかり行っているんだもん。さすがにちょっと行き過ぎかも。

ということで今日も東洋ショーへ参戦することに。プリカがもりもり減っていて、もっと買っとくべきだったかなと思いつゝ、早めに天満入り。商店街をぶらつきながらラーメンでも食って腹ごしらえ。この辺りは色んな店が溢れていて楽しいね。さすがに気温が三十五度ぐらいあるとしんどいけれど。

十二時過ぎに入場。席を確保して瞑想すること小一時間。いよいよ夢の物語が始まる。今日の香盤は、ゆきな→前田のの→春野いちじく→白鳥すず→みおり舞。一回目は着座でフィナーレまで、入れ替え後の二回目は混雑のため立ち見であった。

ゆきな嬢。一回目は「カルシア」、二回目は「千と千尋」。ダイナミックで素敵。トップを飾るにふさわしい。春に見た時にも思ったけれど、ゆきな嬢には実に魅せてくれる。楽しくて格好良くてリズミカルで、そうそう、こういうのを見に来たんだよと思う。オープンショーは「ゆとり世代」Tシャツ。

続いて前田のの嬢。一回目「夏祭り」、二回目「マーメイド」。あれ、先月も見たのか、ぜんぜん印象に残っていない、こんなに素敵なのに。特に一回目の夏祭りが良かった。今日は淀川花火大会らしいが、まあそれはそれとして、演題の通り浴衣姿で可愛く舞う。基本的に和服は余の好物である。可憐に舞いつゝ、帯をほどいて肌があらわになってゆく。なんと美しいことか。米津玄師の打上花火が流れゝば、その弾けんばかりの肌に心が奪われる。

春野いちじく嬢。一回目「ファンタジーソープ」、二回目「ナース」。古風なその名前から年季の入った妖艶な見目を勝手に想像しておったが、若い感じで、すらっと長身、どちらかいうとアイドルの雰囲気で、それでいて本格的な踊りをするもんだから、そりゃファンが多いのも頷ける。ポラが長蛇の列。大学生らしい若い数名が団体で来ていた。初々しいね。いゝ趣味しとるわ。

そして我らが白鳥すず嬢。とりあえず可愛い。七月七日に見たデビュー作を再演。まだまだつたない所も多いけれど、それがまた可愛い。笑顔が自然になった気がする。とにかく可愛い。米津玄師の打上花火、前田のの嬢と曲目がかぶってしまったな。しかしこの曲と照明演出の複合作用が素晴らしい。キラキラと輝く背景の中、スポットライトを受けて花道をゆっくり進む。まるで異なる時空間に迷い込んだよう。心が洗われる。

白鳥すず嬢はまだ法被を持っていないのかな。是非とも作って差し上げたい所であるけれど、幾ら何でも出しゃばったことであろうな。

本日のトリは、みおり舞嬢。どこかのブログで、ストリップ見るならずは『みおり舞』、とやたら推していたので、いつかは見たいと思っていた。幼少からクラシックバレエを習い、ローザンヌ国際バレエコンクールにも出場した実力。しかしその借金返済のために夜の仕事へ。何ともお涙頂戴の物語である。「当時はストリップを見たことなかったし、ずっと大事にしてきたバレエを“脱ぎもの”にして踊ることに抵抗があって、お断りしていました」という。

そんなみおり舞嬢の一回目が「ドリームカムトュルー」、二回目が「アイリッシュの恋占い」。うゝむ、さすがに凄まじい。まったくぶれない軸、安定したリズム、すきのない動き。美しい。まるで緻密にプログラミングされたような滑らかなモーション。それでいて人間味に溢れていて。これは圧倒される。嗚呼、こんなにも人類は、軽やかに美しく舞うことができるのか。

なるほど素晴らしい……されど完璧に過ぎるかも知れないな。強く生きてきたとしても、人の中にある弱さ、誰しもが持つ脆さをそっと見せてくれたら、より輝くものであったと。


制作・著作/香倉外骨  2018/08/03初出
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