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ライブシアター栗橋

場所

国道歩道から見る劇場(正面はこんなに草だらけではありません)
GR II, 1/320s, F5.6, ISO100

ライブシアター栗橋は、かつて栗橋大一劇場と称し、その名のとおり栗橋にある。栗橋とは埼玉県久喜市の地名であるが、これは平成合併の結果で、以前は栗橋町であったという。人口およそ二万七千人、水田の広がるベッドタウンでこれといった繁華街はない。

なぜこのような場所にストリップ劇場を立ち上げようと思ったのであろうか。一説に、向かいのボートピア客を目当てにしたとの意見があり、もちろんそういう客もいるかも知れないが、ボートピアができるずっと前から営業しているのだから、そうではないことが分かる。私には分からないとしても、次々と小屋が閉鎖されて行く昨今にあって、長らく営業が続いているのであるから、こゝに建てたことに先見の明があったのであろう。

さて本劇場の最寄り駅は栗橋駅又は南栗橋駅となる。いずれも徒歩二十分は要する。かなり遠い。基本的には自家用車で行くのを想定した場所であるといえよう。公式サイトによれば電話をすれば駅まで送迎してくれるらしい。けだし現存する劇場では最も交通の便が悪いのではあるまいか。

などと色々思案したけれど今日は快晴、しかも八月とは思えぬ涼しさ、ならば南栗橋駅から歩いて向かおうではないか。稲穂の続く風景を眺めながら歩く。見通しの良い田園地帯、真っ直ぐな道、新幹線などの目印もあるので、迷うことなく劇場の前まで来た。

そのまゝ劇場を通り過ぎて更に北上すること十分、ベイシアなるスーパーへ行く。車が前提の土地柄ゆえか、ライブシアター栗橋に酒類の販売はない。せっかく電車で来たのだから飲まざるをえない、換言すれば飲むために電車で来た、要するに飲みたい。こゝベイシアで酒類の調達してからあらためて劇場へ取って返す。

設備


GR II, 1/1000s, F5.6, ISO100

午後十一時二十分に入場。入り口から入ると右側に券売機がある。こゝで入場券を買って受付に渡す。特に難しい仕組みではないけれど、そもそも誰が店員で誰が客か分からない、というのはストリップ劇場にありがちな難しさである。スタッフはもっとスタッフ然とした服装なりして欲しいと思う。

開演は十二時である。それまでとりあえず買ってきた酒を飲みながら待つことにしよう。

劇場内を見渡す。席は四十席少々ぐらいか。スタッキングチェアで快適とは云えないが、新しくて綺麗であり、へたったクッションの古ぼけた椅子よりも好感が持てる。去年はもっとボロボロだった気がするので入れ替えたのだろう。だいたい半分ぐらい埋まっているので二十人ぐらい入っている。

舞台は低い。天井がかなり低いので仕様ない。花道はなく、舞台の中央に飛び出た形で盆がある。盆は舞台より一段高くなっており、盆に立てば天井に手が届く状態に。そのため、盆の上の一部だけ天井を一段高くしている。いかにも小屋という感じである。

舞台の左側にある扉の先に便所がある。小用便器が二基。今どき見ない臭いトイレだ。ドでか無香空間が二つ設置されている。こんなにドでかい無香空間があったのかと感動しつゝ、このドでかさは見掛け倒しか、或いは焼け石に水とはこのことで、臭気に耐えながら小便をするしかない。この点はいたゞけないな。

音響はなかなか良い。おそらく箱が小さいので響き易いのだろう。対して照明はいかにも古めかしい。けれど思いのほか、悪くない。派手さはないけれど効果的に使い分けられて美しいし、ベッドなどは派手に演出するよりも、しっとりしていて淫靡な雰囲気を醸し出す。一部LEDの効果も導入していて頑張っているように思われる。音と光については好ましい。

香盤

五人香盤。一人あたり持ち時間が二十分少々。その後、ポラタイム、オープンショーがあって、だいたい三十分ぐらいで入れ替わっていく。

まず西園寺瞳嬢。相変わらず可愛い。一回目は妖精のような姿で指揮棒を振る。ひとみたんは妖精である。二回目は真田丸。赤い服が可愛い。長ものは天井低くて動かしにくい。三回目は初見。夏らしいノリノリ演目。瞳嬢のイメージ一新で素晴らしい。演題「summer wave」で、いにしえの演目らしい。

続いて御幸奈々嬢。容姿に少し年齢を感じさせつゝ、踊り始めるとびっくり。ノリノリでキレキレ。何とデビューして二十七年を経ているというから、まさに熟年の技といえよう。確かにこのキレなら今でも全然通用する、寧ろ今日で一番かも知れない。この劇場は舞台裏への通路が左右両方にあり、それを活用しつゝ、長い暗転などの切れ目がなく、するりと演目が続く。よくできていて素晴らしい。

秋月穂乃果嬢。今日、栗橋まで来たのは秋月嬢が出演していたからにほかならぬ。これまでアキヅキと思っていたけれど、アキツキであることに気づく。まあ字で書けば一緒であろう。一回目、三回目がぽにょ。舞台の上手に布をぶら下げ、エアリアルを披露する。いかんせん天井が低いので、無理矢理な感じで、床に頭がぶつからないかヒヤヒヤしながら見る。二回目はアラビアン、初見。固定されていないポールをぶら下げる。地面ギリギリ。エアリアルポールというらしい。これはかっこいゝ、ダイナミックな動きに視線が釘付けになる。ベッドも素敵であった。

黒井ひとみ嬢。二回目がヤクルトレディーを主題にした演目。分かりやすい上に面白すぎる。本当に観客にヤクルトを売ってしまう所に笑ってしまう。これは楽しい。

トリは高崎美佳嬢。デビュー二周年。可愛い。白雪姫をモチーフにした演目で、衣装を含めて凝っていてよくできている。周年作ということらしい。

フィナーレ。かっぱ着て準備万端な客も居る。とりあえず鞄はビニール袋に入れておいた。スプラッシュフィナーレダンスと称して、でっかい水鉄砲で水を掛けまくる。普通に前の席だとかなり濡れると思われる。楽しい。

一回目のフィナーレ終了後、売店。予定表にある売店てなんぞやと思っていたが、本当に売店であった。クーラーボックスを盆に乗せて飲み物を売る。ちなみにアルコールは勿論ない。

二回目のフィナーレ後、高崎美佳嬢の二周年記念イベント。たまたま訪問日がイベントだったのだが、こういうのは初めてである。いそいそと盆の上にケーキが用意される。ファンと思われる方からクラッカーが配られる。これは劇場からか、缶の烏龍茶が配布される。烏龍茶で乾杯、クラッカーを鳴らす。たくさんの花束が渡される。なるほど、今日来ている人の半数は渡している気がする。

帰り際、受付で先程のケーキを切って配っていた。確かにこの人数だと食べるのに苦労しそうな立派なサイズである。

栗橋の魅力に魅入られながら、夕焼けを背にして南栗橋駅へと向かう。


GR II, 1/80s, F4.0, ISO100

制作・著作/香倉外骨  2018/08/26初出
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