トップページ | 香倉外骨ストリップ紀行

広島㐧一劇場

場所

広島は、飲み屋から風俗店そして観光地まで、ぎゅっと凝縮されていて楽しい街。道が広くて整備されているのは、もしかすると原爆で焼け野原になったからであろうか。完全な碁盤目と思いきや、斜めに切った道が随所に見られ、慣れないと方向感覚を失ってしまう。こういう街にありがちなように、中心となる繁華街が駅前ではない。歩いて行けないこともないが、路面電車で移動する必要がある。

そんな広島は歓楽街が一角、薬研堀やげんぼりに広島第一劇場はある。ぽつんとそこだけが昭和の香りを残したまゝ、ひっそりと、されど堂々と立っている。


GR II, 1/100s, F5.6, ISO100

設備

午後三時前、劇場の前に立つ。なかなか趣のある佇まい。中から音楽が聞こえてくる。非常口か勝手口か、木製の扉から音がどんどんと漏れている。はす向かいが民家のように思われるが大丈夫なんだろうか。まあ、場所柄だけに問題にならないのかも知れない。

目隠しがついた入り口に入ると、すぐそこにテケツが居る。愛想のよいおっちゃんで、さっと会計を済ませる。

入って左の扉が劇場内への入り口。その奥に女子便所。更に奥の正面に男子便所。古い感じは否めないが、割と清潔に保たれている。少々臭いけれど許容範囲内。換気のために窓を開けている所為か、場内まで匂いが伝っているのが気になる所。

さて場内に入る。いかにも昭和な雰囲気で古びており、まず高い天井に目が行く。かなり高くその所為もあって広く感じる。座席は五十ほど。向かって左側より右側の方が席が多い。この椅子の座り心地が良い。たぶんかなり高価なものなのだろう、これまで座った劇場でも一番座りやすく感じる。

席に座ってぐるっと見渡す。不思議な盆。本舞台の前に盆があって、更にその前に同じ大きさの盆がある。花道が盆になっていると表現すべきだろうか。独特な配置である。更に後ろに目を向けると、壁の上の方が鏡張りになっている。鏡を見れば反対からの情景が同時に楽しめる。

音響、照明ほどほど。注目すべきは場内アナウンスで、何とも云えない暗い口調である。ちょっと物悲しくておどろおどろしい感じもするけれど、聞き慣れてくると味わい深くて、むしろ愉快に聞こえてくるから不思議である。

星空の舞姫

私がこの広島第一劇場に来るのは二度目である。一度目は去年の夏にまで遡る。ひどく暑いの夜、たまたま立ち寄ったそこで、私はそこでストリップに出会い、そして秋月穂乃果という踊り子を知ることになる。

以来、華麗なるエアリアルティシューを見るために、東洋ショー、ライブシアター栗橋、DX東寺など劇場を巡れば、いつの間にかすっかりストリップに魅せられてしまっていた。されど今でも忘れえぬは広島で見た秋月穂乃果嬢の輝きである。空へと羽ばたくその舞に、心がとろけてしまった、あの夏の夜。

星空の舞姫と銘打たれた香盤表。かゝれば再び広島で見んとて駆けつけた晩秋。

秋月穂乃果嬢は、今日こゝ広島の空に舞っていた。特に三回目「H×H」がこれまでにないかっこよさ。渋くダイナミックな動きと、エアリアルの組み合わせ。ずっと見ていたいのに二十分が一瞬にして終わってしまった。やはりこの天井の高い広島は映える。その可憐な舞に釘付けである。

秋月穂乃果に続き、葵マコ、山口桃華、目黒あいら、四者四様、個性的で素晴らしい舞を披露する。間違いなく名香盤であった。

こうやって日付も変わろうとする午前零時前に閉幕。余韻に浸りながらすぐ近くのカプセルホテルで体を休める。


制作・著作/香倉外骨  2018/12/01初出
無断転載を禁じます。リンクはご自由にどうぞ。
Copyright © 2018 Kagura Gaikotsu. All rights reserved.