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初めての浜劇

朝四時十五分に目が覚める。目覚ましより五分早く起きることができた。この時点で今回の遠征の成功は約束された勝利の剣エクスカリバーと云っても過言ではない。

例によって始発より早く車を出し、空港近くの駅に駐車し、この駅の始発で関空に向かう。先月と同じ行動パターンゆえ、何とも洗練された動きで、無駄な時間なく第二ターミナルへと至る。朝焼けの空が美しい。昼飯を食う暇があるのか怪しいので、がっつり腹ごしらえしてから、七時発のピーチで成田へと飛ぶ。

予定より少し早いぐらいに成田着。しかし電車の本数的に予定通りの電車しかない。節約のために京成のアクセス特急である。駅でもない線路の途中で、通過待ちのための停車時間がある。ちょっと調べてみたら、この路線、成田空港から成田湯川駅までは単線となっているらしい。同じくJRも単線で、単線が二線あるという珍しい路線。京成が標準軌のため、こういう構造になってしまっているらしい。また一つ、どうでもいゝ知識が増えてしまったな。

京成から都営浅草線を経由して京急へ。目的地の日ノ出町駅に下車したのが十一時過ぎ。二時間ほど乗車していたので飛行機より長かったことになる。想定通り順調に着くことができたので、昼飯を食う時間がありそうだと、たかさご家という近くの店に入って缶ビールとラーメンを食う。いわゆる横浜家系である。食べながら思い出したけど、そういえば家系は苦手だった。

コインロッカーに荷物を預ける。ビルの裏手、分かりにくい場所にあるロッカーだが、二百円と安くてよい。京急ストアにて飲み物をがっつり購入の上、いよいよ、正午より少し前、横浜ロック座へ。

コンパクトでシンプルな劇場である。天井は少し高めだが、幅と奥行は小さい。椅子は背もたれがないベンチ式。たゞしクッションがあって座り心地は悪くない。席数は三十ほどか。場内は二十人ほどで程よい空き具合である。下手側にはスペースがないため、ポラ列は上手側に形成する。上手側にトイレが合って、ポラ列とトイレ列が紛らわしい。

中央にミラーボールがある。やはりスト劇場にはミラーボールが必須アイテムと思っている。照明は故障のためLEDのみとの掲示があり、確かに付いていないライトが目立ったが、それほど気にはならず。スピーカーは前方に二基、後方に二基設置されているものゝ、後方の二基のみしか鳴っていない気がする。これも故障であろうか。しかし何よりも問題なのは、盆。まわらない。壊れている。これはつらい。回転盆は優先して直して欲しい。

そしてやはりこゝも寒い。これでもかとクーラーが効いている。長袖にしたので大丈夫かと思っていたけれど、薄手だったのでやっぱり寒い、凍える。ということで一回目が終わって二回目までの休憩時間に、少しだけ外出し、ロッカーに直してしまっていたパーカーを救出する。せっかく安いロッカー代が二倍になってしまった。初めから持っていけばよかったな。

そんな横浜ロック座、本日の香盤は、川菜ひかる→清水まな→桜庭うれあ→鈴木千里ちさと→南まゆ。オープンからラストまで。

一番、川菜ひかる嬢。二月の東洋以来。三個出し。一回目は和服にスカートの衣装で始まる。和洋折衷の素敵な衣装に見惚れつゝ、今日一日の楽しい時間に思い至る。三周年作らしい。二回目と四回目が「いちご」、三回目は東洋でも見た「肉まん」である。どれの愉快で彩りの多い演目である。ポラ後にテキトーにしゃべる所がまた面白い。

二番、清水愛嬢。東洋のほか、何度か見ている。相変わらずメリハリがあってキレキレ。二個出しで、一回目と三回目が着物でリンキンという組み合わせがすごくかっこいゝ。二回目と四回目が和服で傘を使った演目で、布を巻き付けたりするところに魅せられる。演目名はたぶん「ボンテージ」と「HANABI」。相変わらず凄い。

三番、桜庭うれあ嬢。七月の東洋以来、三度目。もうすぐデビュー三年目とのことだが、なかなか多彩で面白くて、それでいて落ち着いたステージ捌きと思う。本日は二個出し。一回目と三回目が「女の子は誰でも」でアイスクリームが印象的な演目。これこそ盆が回って欲しい所であろう。舌使いに目が釘付け。二回目と四回目が「てるてる」で、大きなてるてるぼうずで登場する。なかなか見応えがある。

四番、鈴木千里嬢。八月の新宿以来。もはや冷静に見れないぐらい見惚れちまっている気がする。クールでありながら優しく、ゆったりとしながらキレキレのダンス。素晴らしい。一回目と三回目はおそらく新作で、心の内で勝手に「レインコートと雨」と名付く。いつもの鋭さを抑えて、少しばかりほんわかした雰囲気もあって、うん、これ、いゝな。二回目と四回目は何度か見ている演目で、帽子とズボンから始まる。立ち上がりから振り袖ふうの衣装を羽織って、最初の洋服とのコンストラストが美しい。やっぱり好きだな。

五番、南まゆ嬢。二月の東洋以来、三度目。こう考えると、今日は初見がいない。しかも皆がそれぞれ見どころあって隙間なく、わい好みの名香盤といえる。そんな南嬢は、「HOT GIRL」と「新作」の二個出し。和服さばきも豊かで、なかなか見応えあって美しい。

なお一回目から三回目は最後にフィナーレがあって集合ポラとなる。とても楽しく過ごしやすい香盤と場内であった。


制作・著作/香倉外骨  2019/10/09初出
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