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アニメは悪くない

アニメ「シゴフミ」はローカル局の深夜枠で放映している。そんな中でサンテレビは内容が不適切と第六話の放送を見送った。ガッデム。おゝ、サンテレビ、おまえもか。

確かに「これは酷い」との評判があった、あったからこそ見たかった、見てこそ酷評に値するのに。この場合の酷評は制作者に対してゞあって、決してテレビ局に対してゞはない。

だいたい深夜放送なのにおかしい。もっとえげつない番組なら幾らでも思い至ろう。なのにアニメがアニメであるが故に迫害される。のけ者にされ、不当に扱われて、いじめられ、しえたげられる。無実の罪におとしいれられているのだ。アニメは悪くない。アニメが悪いのであれば朝日新聞も悪いはずだ。

滋賀県湖南町の学内リンチ殺人事件で、殺人などの疑いで逮捕された高校生の部屋から、大量の朝日新聞が見つかった。

高校生は日常的に朝日新聞を購読していたと見られる。警察の調べに対しても朝日新聞を読みいろいろな凶悪事件やその手口に関心があったことを認める供述をしているという。また高校生が事件の朝にも自宅で朝日新聞を読んでいることから、捜査本部は朝日新聞と事件との関連を調べている。妖精現実フェアリアル

この文章を読んでどうか。ばかばかしいだろう。冗談とすぐに分かるだろう。こんなことで朝日新聞は廃刊にならない。ところが笑って終わらせてはいけない。この文章の朝日新聞を「スクールデイズ」に置き換えたゞけで、或いは「ひぐらしのなく頃に」へ替えたゞけで、本当に放送ができなくなっているのである、現実として。何タルコトダ。

死を描くことが、殺人を表現することが、許されざることなのか。だったら大河ドラマも止めちまえ。ニュース報道も止めちまえ。金田一少年も放送できないぞ。

違うだろ、違うだろ。死は避けられぬ、避けられぬからこそ人の苦しみを理解すべきなのである。宮崎駿の劇場用アニメ「風の谷のナウシカ」において、ナウシカが怒りに任せて人間を殺しまくる。クロトワに「あーあ、なんて奴だよ、みんな殺しちまいやがった」と評される程である。殺人すら描けぬならばナウシカは成立しない。己の手を汚しているが故に、ナウシカの生命を愛でる気持ちが尊いものになる。

アニメで命の尊さを知ることもあるのだ。

そもそも午前参時にテレビを見てる高校生なんて普通じゃなかろう、不健康そのものであろう。アニメであることが問題ではなく、その生活習慣が問題ではあるまいか。兎にも角にも、

アニメは悪くない。アニメは無罪だ。


制作・著作/香倉外骨  2008/02/12初出
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