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知っては動けぬ袋小路

人生には何色にも染まらぬ、染められぬ所というのが確かにあって、或いは染まってしまえば楽なのに、どうしても弾いて浸透しない。

この人生を真っ更に巻き戻せるならば又違った生き方があったのかも知れない。一度死んで生まれ変わるならばより良い色に染め直せるのかも知れない。

違う、違う、違う! 巻き戻しても又同じ失敗をする。反省なんてない。全て巻き戻したら失敗も忘れてしまう。ならば又、同じ、同じ、同じ。

忘れちまったら意味が無い。覚えていたら動けない。

覚えていて対処できるならば今からだって出来るってもんだろ。戻したいと思っているのは、もうどうしようもないと信じ切っているから、知っては動けぬ袋小路だから。

信じる者は救われぬ。知っている者は動けない。巻き戻した所でやり直さない。また同じ失敗をする。きっと、する。

くそったれ。こんな俺など今朝見た悪夢みたいに掘られちまったらいゝ。後輩社員に犯されまくっちまえばいゝ。あひあひ、もう勘弁してと泣き叫んでも許してくれずに掘られて掘られて掘られまくって汗だくになりまくって肛門の擦り切れるまで掘られまくってしまえばいゝ。うん、もう掘られるしかない。掘られるぐらいしか人の役に立たない。嗚呼、お願いします、勃起してください、犯して下さい、この僕を使って下さい、せめて使ってやってください。この僕には穴があって、その穴ぐらいしか使い道がなくて、この空洞の奥底に風穴を欲しいと思っているのです。

人生を何色に染めれば果たして笑って死ねるのか。

人は死ぬ。きっと、死ぬ。まだ死んだことはないけれど。


制作・著作/香倉外骨  2012/05/14初出
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