無常は春の花、風に
随 いてちりやすく、有涯 は秋の月、雲に伴って隠れ易し。平家物語
しかるあいだ著作権とて常に認められた権利にあらで、たゞ近頃の流行に過ぎんのである。著作権とはコピーライト、即ち謄写する権利を表すのであって、たかだかコピーすることに関して何ら制限を加えられねばならんと云うのだ。それは財産である。それは減らない財産であり、幾らでも複製できる性質のものであった。
テレビ番組を録画しようと、せっかく高いレコーダーを買ったところで、随意にコピーできないという。コピーワンスかダビングテンだか知らないが、何とも殺生な仕打ち、みゝっちくてせこい仕組みだ。きっとこれを考えた奴は、爪楊枝さえ使うこともできず、シャンプーを薄めて使うような度量の狭いひょっとこに違いない。
其の瞬間、此の世から音楽が失われた。
つまるところ後世に残すにはコピーし続けなければならんのだ。紙が痛んだら新しい紙に書き写し、火事に遭っても大丈夫なように複製をそこかしこに分散する。著作はそうやってコピーし続けることで守られて来た。なのにコピーする手段を奪うとは、愚行甚だしく、さらば我々は未来に何を託せば良いと云うのだろう。
船場吉兆が倒産する、突然に道路が陥没する、情報が行き止まりに
いつまでも変わらず美しいのは、永作博美だけ、なのか。
制作・著作/香倉外骨
2008/05/29初出
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