トップページ | されど我が詩集

幽玄体

褒められる行動を心がけていた二十年前
それが大人への近道だと思っていた
早く大人になりたかったから

たゞひたすら努力していた十年前
実らずとも得る所があると信じていた
誠実な存在を疑わなかったから

この四半世紀に
僕は何を見付けたのだろう
今だに筆をとって俗詩を詠んでいるのは
未知のまゝだからに相違ない

独りで音楽に打ち込んだ五年前
いつかあの歌声に近づけると感じていた
クラヴィーアだけは正直だったから

けれど
五年後の春には
寒暖の機微を感じて
桜の芽吹きに考えが及ぶ

香倉外骨(2005/04/04)

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制作・著作/香倉外骨  2005/04/04初出
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