参月拾五日と云えば
天下の奇祭、豊年祭である。
土曜日の開催であるから常より人出なのであろう、駅より既に神社へと列を為す。
田縣神社。立派な鳥居。周囲に並ぶ出店。
隣のスーパーなども便乗して出店の状態で、こちらは安くていゝ。やかんで直火の熱燗が二百円、沸騰している。駐車場が宴会場の状態。こいつらもはや祭など見ていないな。始まる前から酔いつぶれて寝ている者も居る。半分以上が外国人と思われる国際的な雰囲気に包まれて。
取り敢えず、たこ焼きとビールを独り食べる。地べたに座って食べる。これを独りで出来るぐらい余も大人になった。誇れることではないが。
うん、腹拵えも済んだ故、神明社へと向かう。御輿行列はこゝから始まる。既に沿道を観客が埋め尽くしている。老若男女、国籍を問わず集まっている。小さいお子さんにも安心の健全な祭である。
いよいよ行列が始まる。天狗を先頭にゆっくりと田縣神社へと向かって動き出す。
陽物御輿とて
大きく回される。圧倒される。酒精に清められながらカメラを連写する。男も女も、老いも若きも、目を奪われる。
青空に下、雄々しい姿を見せつける。雄壮とは将にこのことであろう。
カメラの多いことよ。ひときわ目を引く大きなカメラ。見れば中部日本放送報道部の文字が見える。脚立を支える小柄な女性が居る。可愛い。CBC NEWSの腕章をしている。可愛い。
アシスタントかと思っていたら、観客にマイクを向けて聞き取りを始めた。アナウンサーか? 兎も角、可愛い。(後で調べたらアナウンサーではなく記者さんでした)
人のことは云えんがカメラだらけである。前のカメラは邪魔だが、特にiPadのようなタブレットをカメラにして上に持ち上げられると壁になる。何枚も並べられた日にゃ、まるで目隠しされているかのように感じてしまう。結婚式とかでも居るがちょっと勘弁して欲しい。
ふと横を見るとRTのテープを貼ったカメラが居る。こちらは渋い黒人男性が撮っている。直接観客に話しかけているのでどうやら独りで取材している模様。なるほど海外メディアが食いつきそうなイベントに相違ない。こちらは一眼レフカメラで動画撮影している。巨大なビデオカメラよりこちらの方が安くて画質もいゝなんて不思議なもんである。テレビ局もこれにすればいゝのに。
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制作・著作/香倉外骨
2014/09/12初出
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