トップページ / されど我が詩集

雨に濡れても

一雫の雨が顔に触れると
すっと流れて汗に混じって
やがて雲になるのだろう
都会で裸でいれば
ポリスがすぐにやって来て
なんやかんやとうるさいけれど
野原の草陰で垂れるうんこは
人の営みの原点に帰する瞬間という
一雫の雨に体が濡れると
そっと優しく肌を包んで
やがて女になるのだろう

女になった体は
家を飛び出し
服を脱ぎ捨て
身を乗り出して
己の手首に
針を突き差し
朱色に染まった白い腕を見て
悲しい笑みを浮かべる

そんな君に白い百合
そんな私に赤い薔薇

雨が降ろうとも
波が打ち寄せようとも
決っして止まない
命の再生

そんな命に黒い雨

香倉外骨(2001/08/27)

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