ブナの気が動かないとしたら
私は何を感じるだろう
意思のない建造物に
何かを感じるはずもなし
木は大きい
長い時間をかけて
ゆったりとした心で
動き続けている
ブナにとって一生とは
意思のままに生きるということ
私が話さなくても
優しく語りかけてくる
それが植物というものだ
毒を有する者
果実を欲する者
水を欲する者
乾きを欲する者
それが植物というものだ
ブナの木が枯れて行く
朽ちた古城のように
長い年月をかけて
自然に帰って行く
香倉外骨(2002/08/21)