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いとしい風

たとえ本当は今にも泣き出しそうなのに
独りきりになるまでは
当たり前のように笑っている

例えば乾いた風が強く当たったとしても
この涙を吹き飛ばしてくれると笑うだろう

確かに本当は一番苦労しているのに
ほんの少しの暖かさを
ひどく幸せのように笑っている

例えば冷たい雪が儚く落ちてきたとしても
もうすぐ春だと雪の精霊に別れを告げるだろう

傷つける事がこんなにも簡単なのは
ずっと昔から知っていたけれど
傷を治す事がそんなにも簡単なんて
これまでは全然知らなかった

涙が
吹いていく

香倉外骨(2004/08/01)

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