トップページ / されど我が詩集

雨の明ける日

もしも人が
醜さを愛せるならば
悩みも苦しみも
悲しさと寂しさと
憎い程の失望から
解き放たれるだろう

けれど私は
美しい物を愛でて
汚い物を遠ざける
たとい私の行為が
理不尽であったとしても
悪臭に吐き気を催される

雷が
その異形の姿を露わにし
轟きが
私の言葉を無き物にし
降り止まぬ雨が
涙となって
頬から落ちた

醜さを愛せずとも
醜い物なら愛せよう
匂いに嘔吐しながらでも
汚い体を抱きしめよう

夜明けとともに
雨上がり
濡れた衣に
湯気上がる

いつしか
古傷を懐かしむように
笑顔で語り合う日が
きたる事を

香倉外骨(2004/08/11)

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