トップページ | されど我が詩集

浮沈

たった一つの命が
幾千の凄惨な死より
大切であったから

殺した

アイスクリームが冷たかった季節から
白い雪に凍える季節まで
ずっと一緒であったから

泣いた

ほら前に云ったであろう
もう一緒に居られないと

あの日
転げ落ちて
どん底から見えた光は
少なくとも初めて
希望の色

ところだどうだ
幾千の屍が蘇り
恨めしい恨めしいと
再び足を掬う

堕ちながら見る
遠ざかる青天は
確かに夢の匂いがした

さらば

香倉外骨(2005/04/23)

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制作・著作/香倉外骨  2005/04/23初出
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