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自白

犠牲を厭わず手に入れる
そんなものが愛ならば
君をずっと愛すだろう

けれど
そんなものは愛じゃないと知っていたから
犠牲も愛も手に入らなかった

手に入れたくても
手を出したくないものを

壊してしまいたいのに
壊れて欲しくないものを

肌に滲んだ汗を
代わりに拭ってしまおうかと思うけど
拭うための布切れも優しさも
持ち合わせがなかった

恋しくて
恋しくて
恋しさ自体に
恋しくて

なのに怖くて
怖くて
怖いことを言い訳に
近づこうとしない
ひとひらの布切れを持とうとしない

結局それか
悔やみたいんだ
雨に濡れて涙を隠す自分に
酔いたいだけなんだ

愚かで
愚かなまま悔やんで
悔やんだまま年老いて
最期に泣き崩れる
泣き崩れることが
孤高の誉れと信じたまま

香倉外骨(2006/08/23)

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制作・著作/香倉外骨  2006/08/23初出
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