トップページ | されど我が詩集

断念

実現するはずのない儚い夢を
そんな夢だからこそ
憧れて
望んで
祈って
天に頼んで

だからこそ
実現するはずもなく
絵を眺めてような
気持ち

線香から一条の煙が立ち昇り
この心に染み渡った気持ちを
消してしまう
残り香に変えて

知っていたかい
こんなにも苦しいことを
こんなにも虚しいことを
こんなにも意味のないことを

いくら吐露したところで
伝わりもしない
気持ち

通じたとしても
受け入れられない


苦しいなら
もういらないと思いながら
この気持ちを棄てるぐらいなら
生きている価値もない

生暖かい風が花を散らす
散った桜が道を汚す
春の始まりは
春の終わり
綺麗な写真を便りにして
届こうと届くまいと
散った花は
もう咲かない


分かっているのに

香倉外骨(2007/04/14)

/ 目次 /


制作・著作/香倉外骨  2007/04/14初出
無断転載を禁じます。リンクはご自由にどうぞ。
Copyright © 2007 Kagura Gaikotsu. All rights reserved.