トップページ / されど我が詩集

片恋

磯貝の片恋抱く秋の宵
まるで私は今だに独り

そう交換日記に記した私は
新聞配達の音を聞きながら
このノートを渡す時を思う
どうしてこんなことを書いてしまったのだろうと
自問する
もう消せないように
ボールペンで書くほど
胸が痛かった

この闇は
決して明けることができないように
感じられた
もうすぐ冬だというのに
生暖かい温度が
すべてを現実から遠ざけて
また一本
ノートに言葉が添えられる

だから私たちは
最初から
これまで
ずっと独りだった
それはこれからも
変わらない

ずっとお互い
恋しているのに

香倉外骨(2002/11/11)

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