石油の歴史は古く切ない。
それはよく燃える。
明かりとして、動力として。
それは変化する。
化学繊維として、プラスチックとして。
黒く重い水は、
いつからか富を生み出し、
同時に争いを生み出した。
余りに便利な魔法は人の手に余って溢れ出し、
涙まで黒く染めてしまった。
一説に、
生物の死骸が地質学的タイムスケールにより変性し、
石炭と同様に化石燃料となったと云われる。
我々は遙かいにしえの命を燃やして、今日の夜を、
闇を敢えて照らして、走っていく。
行き先は、どこか。
香倉外骨(2004/12/12)